ワルキューレ

公式サイト⇒http://www.valkyrie-movie.net/

感想としては、「華のあるスター、トム・クルーズを史実を元にした映画にもってくるのは、是なのか非なのか」という感想をもちました。


この映画は、ヒトラー独裁政権に絶望し、祖国のために総統暗殺を企てた軍人シュタウフェンベルクトム・クルーズ)を中心としたストーリーです。第2次大戦中の1944年、ヒトラー暗殺計画作戦名「ワルキューレ」という史実を元にしています。


ヒトラーの最後の状況を少しでも知っていれば、このストーリーの結末がどうなるかは、自明の理なのですが。中盤になるまで仲間集めで、ほとんど緊張感が無いのですが。中盤以降は、確かな緊張感があり、どうなるかをドキドキと見れました。カメラワークや画面の色使いが上手いので、スピード感があり、だれる事もなかったです。ブルーの色彩の画面に突然でてくるハーケンクロイツの赤い旗なんか、刺激的でした。
あと、実際に事が起こった際に、ナチス派と反ナチス派が、主導権を握ろうとするのをみて、非常事態においては、役職や権力という建前は崩れるのだなぁと、興味深かったです。


ただ、この映画でひっかかったのは。
暗殺決行後のオルブリヒト大将の成功か否かの迷いや、フロム大将の自己保身に走る姿など、脇を固める人物は、暗殺に対する犠牲への苦悩や迷い、打算など人間らしい心の動きを感じられたのですが。
主役のシュタウフェンベルクは、もうなんていうのかヒーローなんですね。いや、それが悪いという訳ではなく、トム・クルーズは頭が切れ、行動力にあふれ、ひたすら格好いいように撮られているんです。けど、なにか軽い、重くないんですね。
だから、観てるうちに、これはミッションインポッシブルの映画だと言われても納得してしまいそうになる感じがあるんです。
いや、そのヒーローとしてカッコいいというのが華のあるスター、トム・クルーズらしさなんだろうし。
ヒトラーの贋札や、ヒトラー 〜最期の12日間〜のような映画だと重くなりすぎるというのも分かるんですけどね。
なんか悩ましいな〜と感じました。