ブラックサイト

公式サイト⇒http://www.sonypictures.jp/movies/untraceable/

感想から、「近年ハッキングが魔法のように扱われる中で、現実的なWebを題材にした良作サスペンス。ただし、犯人像については、今どきでなく古くささというかお約束を感じた。」そんな作品でした。一応R-15作品なので、ちょっとグロいシーンはあります。
あらすじは、FBIの女性捜査官ジェニファーは、サイバー犯罪の専門。捜査依頼により、killwithme.com(私と一緒に殺そう)というサイトの調査を始めた。そのサイトでは、子猫がねずみ取りに捕らえれていて、衰弱死していく様子を動画のストリーミング放送されていたのだった。上司にかけ合うが、猫をを殺しても大した罪にはならないため、他の仕事を優先しろと命令される。
ただし、子猫の件は序章に過ぎなかった、次は、殺人の様子が同様にネットで流されたのだ。それは胸に死なない程度の切り傷がつけられた男性が、拘束されている動画だった。殺人の方法は、アクセス数が増えると、抗凝固剤が入った薬が、どんどんと点滴で投与されていくという物だった。哀れな犠牲者は、サイトを閲覧する人間が増えるたびに、失血死へ近づいていってしまうのだ。

このネットで、好奇心でもって参照しているだけの存在すらも、殺人の共犯者足りうるというアイデアは中々秀逸だと感じました。
URL元のサーバーを抑えればいいんじゃないの?といった、基本的な疑問に対しても、きちんと納得できる回答が語られているのも好印象でした。(最近、なんでもかんでもハッキングしました、じゃぁOKだなという展開多すぎ思っていたので。)ただ、FBIが増えていくアクセスに対して、成す術なしというのは、ちょっとどうかなと思った。プロバイダ業者に対して、殺人の共謀罪になる可能性があるから、killwithme.comへのアクセスを制限してもらいたいと規制をかける事ぐらいはできると思うんですよね。といっても、多分これは、オイラがネットに対して生半可に知識があるから、ひっかかった点としてとらえてしまうのだろうけど。映画としてみるなら許容範囲だとは、思う。
ストーリーの構成としても、きちんと伏線を回収していく展開は、盛り上がりを感じましたし。主人公のジェニファーは、夫を亡くしたので、母親の手を借りながら、娘を育てるため、夜勤のシフトでFBIで働いているという設定からして、中々渋い設定で、ダイアン・レインも魅力にあふれた演技が良かったです。

アクセスすると人が死んでしまうかもしれないサイトに、人はアクセスするのか?ネットは、ネガティブコメント、誹謗中傷、著作権の侵害など、悪意にあふれているように見える。それはネットにおける特性ではなく、他人の不幸は蜜の味という精神が人には、元々備わっているのかもしれない。劇中では、リアル社会においても、自動車事故を見物する人たちで渋滞したエピソードが語られていた。リアルにおいても自分と関係ない他人の不幸話に興味を持ってしまうし、ワイドショーや週刊誌でも他人のあら探しは、頻繁に行われている。そうした人が元々持っていた特性に対し、ネットは拍車をかけてしまう物なのかもしれないですね。