パフューム ある人殺しの物語

映画レビュー、もうちょっと続きます。^^;
さて、この映画の感想は、「匂いという本来、映画が苦手としてる情報を上手く伝えてた。」というものでした。
冒頭の市場の生臭そうな匂いからして、本当に臭そうなんですよね。また、女性から香ってくる匂いも、かぐわしそうだというのが映像で語られるのですね、この部分は、上手いなぁと思いました。

ストーリーは、18世紀のパリ。天才的な嗅覚をもつ主人公ジャン=バティスト・グルヌイユ(ペン・ウィショー)は、香水調合師となり、究極の香水を作り出そうとする。その材料とは・・・

CMなんかのイメージだと、エログロという感じなのかなと思ったのですが、演出は、直接的な表現は、ぼかされ、ソフトになっていました。
匂いの部分もそうでしたけど、もうちょっといくと気色悪さを感じるかなぁというギリギリの所にある気がしました。(これでもアウトの人はいるでしょうけど。)映像美としては、圧倒的な迫力があります。

この映画の特異な点としては、主人公のグルヌイユに、観客側としては、まったく共感できないのですね、というより嫌悪をもつ可能性の方が高いかな。グルヌイユは、他人への配慮をせず、ただひたすらに利己的に殺人という手段を用いてでも目的を達成しようとするのです。それでいながら、完全な異端児、異常者とはなっていない所がまた、怖い。グルヌイユは香水職人としては、腕もあるし、通常生活をおくれている。その一般人に紛れながらのズレが見事に演じられてて、凄いなと思うとともに、映画を観る側としては、どこに感情を移入すればいいのかは、迷います。

前半までの究極の香水を作り出そうとする所までは、サスペンス的緊張感もあって、面白かったのですが。後半、ローラが町を抜け出した辺りからは、主人公の能力が凄すぎて、思わず笑い出しそうになってしまいました。馬車で逃げたローラを、匂いで追いかけるって、やり過ぎじゃないかなぁ〜。あと、CMでも流されていた何百人の裸のシーンも、ありえなさすぎてシリアスというより、コメディのような印象を受けました。

観た直後は、呆気にとられましたが、強い印象をうけるし、あのシーンはこういう意味なんじゃないかなと色々考えてしまう映画でした。