かもめ食堂を見た時、映画館満員でした

かもめ食堂 [DVD]

かもめ食堂 [DVD]

もう、1ヶ月程前の話になるんですけど、かもめ食堂が伏見ミリオンでアンコール上映をしていたので、観てきました。
上映の15分前に、映画館に着いた時には、行列が出来ていて、他の映画で舞台挨拶でもあるのか?と訝しんだのですが、この映画に皆さん並んでいて、ビックリ!

さて、映画の感想ですが、「ゆったりまったりとした心地よい雰囲気につつまれた映画。そして、おにぎりやコーヒーが凄い美味しそうだった。」

サチエ(小林聡美)はフィンランドの都市、ヘルシンキで「かもめ食堂」という名の日本食の小さな店を営んでいる。 ある日カフェにやってきた日本かぶれの青年に「ガッチャマンの歌の歌詞」を質問されるが、思い出せず悶々としていると、町の書店で背の高い日本人女性ミドリ(片桐はいり)を見かける。 もしや、と思い試しに「ガッチャマンの歌詞を教えて下さい!」と話しかけると、見事に全歌詞を書き上げるではないか。 旅をしようと世界地図の前で目をつぶり、指した所がフィンランドだった…というミドリに「何かを感じた」サチエは、彼女を家に招き入れ、やがて食堂で働いてもらう事に。

一方、マサコ(もたいまさこ)は両親の看護という人生の大役を務め終え、息抜きにフィンランドにたどり着いたものの、手違いで荷物が紛失してしまう。航空会社が荷物を探す間にかもめ食堂へとたどりつく。

生い立ちも性格も年齢も違う3人の女性が、奇妙な巡り合わせでかもめ食堂に集まった…。

小林聡美さん、もたいまさこさんとくれば、室井滋さんでしょと思う俺は、やっぱり猫が好きの大ファンでございます。
ですが、片桐はいりさんをいれたこの3人は、それぞれ個性をだしながらも、奇妙ではあるけれど、自然体な雰囲気を醸し出しています。
小林聡美さんの、凛とした立ち姿、否定をせずに誰でも受け入れてくれそうな大人な態度、片桐はいりさんの小心者なんだろうけど、お節介な性格、もたいまさこさんの、ノホホンととぼけているようで、強力な存在感など、それぞれが独自の空気をまといながらも、それぞれの領域を侵食する事なく共存しています。

タンポポ [DVD]
なんとなく、伊丹監督のタンポポに似てるなぁ〜と思いました。
話の内容は、なにか大きな出来事は起きずに、かもめ食堂に段々とお客さんが集まっていく過程が描かれます。
ですが、サチエの信条は、「毎日真面目にやっていれば、いつか必ずお客さんはやってきてくれます。それで駄目ならあきらめましょう。」というもの。商売はそんな単純なものじゃないよとか、いくらでもツッコム事はできますが、それでも俺達はそんな努力がきちんと報われる世界であって欲しいとの希望を、かもめ食堂に託してしまうのですね。
また、サチエがなぜ日本でなく、フィンランドで食堂を開くのか、ミドリはなぜ、世界地図を開いて日本を出て行こうとしたのか、マサコも両親の介護を終えてと、それぞれの人生には、色々な出来事や背景があるのは軽く触れられるのですが、主人公のサチエは、他人の事情を詮索しないという大人な態度で接するのです。また、サチエはミドリに、日本に帰りたいのなら、寂しくはなるけど、ミドリの人生だからその決断を尊重すると告げる。この人間関係の適切な距離感も心地よく感じる部分でした。

フィンランドに流れるゆったりとした時間、北欧の食器、その食器の上に乗る日本食、コーヒーが美味しくなる呪文「コピ・ルアック」、どれもが清々しくお洒落で、元気をもらえる、そんな映画でした。