椿三十郎を観たッス

公式サイト⇒http://www.tsubaki-sanjuro.jp/index.html
見た映画のストックがまだ2,3本あるので忘れないうちにという事で、ちょっと映画のレビューが続くかもです。
さて、椿三十郎です。ご存知、世界のクロサワの作品のリメイク作品です。
脚本は、オリジナル版とほぼ、一緒です。というか、脚本は黒澤監督の時と同じものを使用していたとのインタビューを観ました。
コメディ部分のノリがいささか古いかなぁとは感じた部分はありましたが。(ドリフのコントのようなベタベタな感じと言いましょうか。)
脚本については、素晴らしかったですね。特に凄いなと感じたのは、映画の冒頭、若侍が神社の社殿で、上級役人の不正を暴こうと集会を開いた所です。そこから、偶然社殿に寝泊まりしていた、椿三十郎の登場。若侍の話を聞いただけで、味方だと思った人が実は敵だなと見抜く椿三十郎の洞察力、そして敵を蹴散らす強さ。熱血さはあるが、機転も知恵もない若侍たち。手ごわい相手の敵役、室戸半兵衛の登場。
開始の数十分で、世界観が示され、キャラクターの立ち位置が分かり、目指すべき目標とそれを遮る敵の存在までもが、一気に理解でき、物語にスムーズにのめり込んでいく事ができました。この部分は、ホント凄いなぁと思いました。

そして、どうしても比較してしまうのが、主役でしょう。今作では、織田裕二さんが演じておられましたが。やはり、この椿三十郎という役は、三船敏郎さんの方が似合うと思います。椿三十郎を表す言葉として、劇中で鞘のない刀のような人というのが、あるのですが。下手をしたら叩き殺されるかもしれないという凄みは、三船さん独特のものでしょうから。
じゃぁ、織田さんだと、まずいのかというと、さにあらず。過去と比べるから、色々と言いたくなるのであって(リメイク作品は、そういう宿命ですけどね。)、別物ととらえると、十二分に楽しめます。
殺陣も正直な所、この例えは古い映画の話になりますが、幕末太陽傳石原裕次郎さんのように、動きは見せずに決めのポーズだけを撮るというやり方にするのかなぁと思ったのですが。幕末太陽傳 [DVD]
長回しでも実に滑らかでリアリティーのある動きが良かったです。
あと、佐々木蔵之介さんの押し入れ侍がいい味出してたなぁ、笑わせてもらいました。

時代劇初心者であっても、楽しめる娯楽作品だと思います。そして気に入ったら、黒澤監督のオリジナル版との比較も楽しめたりする二度美味しい映画と言えるかも。