亀は意外と速く泳ぐ

「あずきぱんだちゃ〜ん♪」
コホン、失礼。やってみたかっただけである。
この作品は、時効警察でブレイクした三木聡監督の映画作品です。時効警察より前に撮られたのかな。

時効警察という作品を知っている人には、いわずもがなですが、この作品も「ゆる〜い、バカバカしい脱力コメディ」です。
決して、朝早くさわやかな時間帯に見るべき作品じゃないですね、深夜にぼぉ〜っと見るべきじゃないかな。

ストーリーは、主人公片倉スズメ(上野樹里)は存在感のない平凡すぎる主婦である。夫は海外単身赴任中で電話をかけてくるが内容はペットの亀に餌をやったかという事ばかり。
そんな平凡で代わり映えのしない日々を淡々と過ごしている。
ところがある日、階段の目立たない位置に貼られた「スパイ募集」のシールを見つけた所から急転直下、非日常的な生活が始まる。
スパイ募集に興味から連絡をとったら、とんとん拍子に話がきまり、スズメは半ば強引に某国のスパイとして活動する事になり、活動資金として500万円を手渡される事になったのだ。
なぜ、スズメがスパイに選ばれたのか?それは、平凡で目立たないからだ。

うん、ここまでの話で、普通ありえないでしょ。だから、そのありえないゆるーい雰囲気を感じて見てください。
そして周りを固めるキャラクターがまた、濃いのである。幼なじみで友人のクジャク蒼井優)、先輩スパイ夫妻(岩松了ふせえり)、スパイと敵対する公安部の捜査員(伊武雅刀嶋田久作)スズメが昔あこがれた先輩(要潤)に至っては、要潤が三枚目としてヅラをつけながら、頑張っている。それぞれのキャラクターが、意味が分かるような分からないような行動をとり続けて、クスクスっといった半笑いを誘います。

画面全体のイメージは、原色を多用したポップな感じ。上野樹里さんの服装や部屋のインテリアなんかがそんな感じですね。この辺は、フランス映画の「アメリ」っぽいです。まぁ、アメリがおしゃれな感じに仕上げたのに対して、この作品は可愛いんだけど、日本っぽい野暮ったさも感じますね。

全体を貫くテーマとしては、平凡さの中にある非日常なのでしょう。いつも食べに行くラーメン屋の店主はもしかしたら、実はスパイなのかもしれない。人はそんな平凡さの中にこそ非日常を内包しているのかもしれないと、妄想する事は楽しいですしね。また、スズメがスパイ活動をするにあたって、意識して平凡であろうとすると今まで日常的だった行動に疑問を持ってしまう。他人から見て平凡な行動、普通な行動ってなんだろうと。平凡か非日常かは自分の意識しだいで、簡単に変わるという事なんでしょうね。それが、ラストシーンで、ちょっとしんみりする余韻ともなりました。

ちょっと癖はありますが、そんな期待せずに、夜中に暇だなぁという時に見て欲しい作品です。
ちなみに、オイラは、いわゆる沢尻エリカさん・長澤まさみさん・宮崎あおいさんといった若手女優の中では、上野樹里さんが、一番好きなんですよね。その分、点が甘くなっているかも。
といいつつ、今のところ、一番好きな女優さんは、麻生久美子さんかなぁって、そんなこたぁ誰も聞いてないってね。