とてつもない日本

とてつもない日本 (新潮新書)

とてつもない日本 (新潮新書)

新総裁は福田さんに決まり、麻生さんは敗れましたね〜。やっぱり重要なのは、古賀さんの動きだったのかなぁと思ったり。額賀さんの総裁の目は、消えちゃったかなぁ。
そして、麻生さんも惨敗となると、もう総裁選3度目だし、そろそろ次の世代へとなりそうでしたが、意外と健闘したんじゃないでしょうか。

上記の本は、そんな麻生さんが外相時代に日本について書いた本。(といっても2007年6月刊行なんで、ちょっと前ですね。)
普通の新書よりサクサク読めるのは、行間が開いてるからでしょうか、さらっと読めました。
この本の感想としては、「麻生さんの、こだわりのなさによる多面的な見方と現状の肯定力がすごいなという点」です。
例えば、麻生さんといえば、よく話題に出されるのが、漫画好きという事。これだって、普通、政治家や経営者だったら、愛読書は歴史書とか孫子とか言うと思うんですけど、麻生さんは、ゴルゴ13や風の大地なんかが好きだと公言している。本の中でもいい歳したオッチャンが漫画を読む事は、嘆かわしいという風潮は漫画への蔑視があるのではと述べている。
ただ、漫画がどうのこうのというのは、この本の本題ではないのでしょう。たまたま、例題にあがっただけで。
ようは、漫画が世界にうけているのなら、漫画でもいいし、納期を厳守するという働く価値観でもいい、長年培ってきた市場経済と民主主義でもいい、公害を代表とする環境問題への取り組みでもいい、少子高齢化に対する方策でもいい、偏見なく日本の価値を認識し、それを他国の教材として成功例・失敗例に関わらず、積極的に情報公開していき、アジアの先駆者的役割を担おうという主張につながっていくのだと思います。


また、よく言われる日本は世界で孤立しているという論調にも疑義を唱えています。それって、本当なのか?と。
本にも書いてあるが、2006年イギリスの国営放送BBCが世界33カ国、4万人に世界への影響が肯定的か否定的かというアンケートした結果についてあげている。
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/home_page/325.php?nid=&id=&pnt=325&lb=hmpg1#Japan
上記のURLで、その結果が見れます。もちろん、英語なんですが、横のpositiveとnegativeのグラフを見るだけでも、だいたい内容が分かるかと。
参加33カ国で肯定的と答えた人が多い国が31カ国。否定的と答えたのが、中国と韓国の2カ国となっています。
つまり日本は、世界中で嫌われているという偏見は捨ててもよいのではないか、もっと前向きになってもよいのではないか述べます。

その他にもニート少子高齢化、教育、格差社会、地方問題、靖国問題、外交について、比較的広く浅く考えが述べられています。
中には、それは暴論じゃぁとか、図式を単純化しすぎじゃないのと思った部分もありますが。(オイラは教育部分と外交の部分でそう感じた。)それでも政治を語ろうとすると、オイラでも小難しい言葉を使って、分かりにくい議論をしがちになってしまう所ですが。
政治家に必要なのは、その難しい問題を単純化し万人に問う事なのかもしれませんね。

政治家が語るポジティブな日本の現在、将来を感じさせてくれる一冊です。