守護霊と神道の関係における私的考察

わが家の神道の基本には、守護霊が出てきます。
守護霊が、現世の我々を守ってくれるということです。
が、この守護霊の考え方が世間一般と違って、わが家の考えの中では、守護霊にはランクがあるんです。

なんか、大学のレポートのような題名ですが。
butさんが、守護霊の話をされたので、それに便乗して話をしてみようという試みです。(というよりも、こういう宗教や神話という話は、結構好きなんです。)
で、守護霊の話なんですが、元々この考えは、民間伝承的な考えとされていますが。その元は、仏教やキリスト教ではありえないと思います。なぜなら、仏教の基本的な考えの一つに、輪廻という物があり、霊は六道輪廻を巡っていて、誰かにつくという事はないと思われます。また、キリスト教においては、守護天使((勿論、教派によって様々な考えは、あるし。基本的にキリスト教本体としては、認めていないっぽいけど。))という考えが最も近いと考えますが、これは、守護天使は、天使なだけあって、神の分身なんですね。つまり人がなれる訳ではないのです。ここは、祖先の霊が、守護霊になる考えと、相違があると思います。
じゃぁ、何が近いのかというと、神道氏神・氏子制度が一番近い考えなのではないかと思います。氏神ねぇ、そんな制度、私には関係ないなぁと思っている、そこのあなた。意外と日本人の多くが、この制度に則った行動をしているのですよ。
それは、お宮参りです。お宮参りというと、赤ちゃんが生まれて初めて神社にお参りする行為だと言われてますが、その背景には、赤ちゃんの誕生を氏神に報告し、氏子になり、その氏神の祝福を受けるようにという意味が込められています。*1

 そこて、まず、生まれてくるときに守護霊が決まります。
この生まれるときに決まる守護霊は、自分自身ではなく、その一族の基礎レベルに相当する守護霊が憑きます。

当然、氏神ですので、その氏族(一族)に対する神となる訳です。例えば、天皇家氏神天照大神です。なので、天皇家は、ほぼ最強レベルの氏神様がつくわけなのですね。

で、この考えには、実はワイルドカードみたいなものがあり、積徳しなくても、レベルが上がる方法があるんです。
それは、自分が所属する一族を変えるんです。
つまり、養子に行ったり、結婚したりして、名字を変えると、自分の基礎となる守護霊のレベルが変わることになるんです。

これも、つまり、一族から抜ける。つまり結婚して、他家へ嫁ぐような場合には、改めて婚家の氏神の氏子入りする儀式を取り行う事が多かったといいます。当然、所属する一族が変わる訳ですから、氏神も変わるのが当然ですね。

どうでしょう、このように見ると、守護霊と氏神・氏子制度の近似性が見れるのでは、ないかと考えます。
それでは、なぜ、氏神でなく守護霊という事の考察ですが。それは、現代の家制度の崩壊ではないかと思います。つまり、近代におけるまでは、個人の出世や没落とは、家の繁栄とつながっていました。それは、「お家のために」という台詞を時代劇で聞いた事はあるでしょうし、例えば、徳川家が天下をとれば、徳川一族は繁栄し、逆に豊臣家は没落するしかないというように。繁栄も没落も家(一族)が基本の単位でした。だから一族=氏子なので、一族の繁栄=氏神のおかげとする事ができました。

が、明治以降の現代における小家族化、家長制度の崩壊、個人主義の台頭によって、家族間においても格差が生じ、一族間においても繁栄や没落の関係性は、ほとんどなくなってきました。そのような社会状況においては、氏神制度では、対応できなくなったのではないかと思います。つまり、現代に入る事によって世襲という制度が滅び、能力のあるもの、頑張ったもの、運の良かったものが、世の中の成功を掴むという社会に変わっていった時、合理性のとれた考えとして、ぴったりだったのが、一族でなく個人につく守護霊の考え方だった。
そうオイラは考えるのです。

*1:正確には、お宮参りは氏神でなく、産土神(うぶすながみ)に対して行われますが、大抵の場合には、氏神産土神はイコールになる事が多いので、ここでは説明は省略します。