魍魎の匣を観たんだけどね

公式⇒http://www.mouryou.jp/
基本的に原作の京極堂シリーズは大いにはまったので、以下は原作寄りの発言になってる部分も大いにあるという前提で読んでください。
さて、この映画は京極堂シリーズの第2段。前作の姑獲鳥の夏は、実相寺監督が撮られましたが、亡くなられて、今作は原田監督に変わりました。それとメインキャストの中では、関口役が永瀬正敏さんから、椎名桔平さんに変わられました。

さて、映画の感想ですが。「江戸川乱歩的、耽美かつグロテスクな世界観が背景の、要塞に立てこもる悪人退治もの。だけど、話の流れはかなり分かりにくい」と言った所でしょうか。内容は、原作から大幅にアレンジされています。正直、原作の多層構造というか複雑さは、映画1本では収まらないと思うので、変更したりする部分はあっても良いと思うのですけど。
原作を読んだ人ほとんど別物だと思った方が良いと思う。

で、良かったな、興味深かったなと思った点。

  • 戦後日本の風景ではあきらかにないけど、中国でのロケ風景が異世界的雰囲気があった。(華麗なる一族のロケと同じような感じ)
  • 滑舌が良いわ、饒舌だわ、原作の雰囲気を残していない関口役の椎名桔平さんは意外と良い感じ。映画で原作のように、うじうじやられたら、うっとうしい気もするし。

で、不満な点。

  • やっぱり展開はなっとくいかない。特に後半の研究所への突入と活劇は、間延びした展開だし、興ざめした。
  • 各キャラクターの行動の動機付けがあいまい。なんで、最後の楊貴妃のシーンとか、なんでこのキャラがこんな行動するのか意味不明。
  • 犯人もただの異常殺人者というだけになってて、うすっぺらく感じた。
  • 御筐さまとの対決での呪術的な歩行や、ラストシーンでくるくる回るコミカルな京極堂は、笑った。いやー、京極堂はそういうキャラじゃないとは思うけどね。
  • 木場が主役の話のはずなんだけどなぁ〜。ただの狂言回しというか、邪魔なだけの役だったような。なんで最後一緒に行かなかったのか、途中で落ちてきたのかとか。

全体的には、色々不満でした。元々原作自体が仕掛けが凄いとか、謎が解けた爽快感があるという小説じゃないので、映画化は難しいかなぁとも思った。でも、続編でたら気になって見に行っちゃうんだろうなぁ〜。
シリーズの中では、絡新婦の理が一番好きなんで、映像化して欲しいようなして欲しくないような複雑な気分です。