探偵ガリレオと予知夢を読んだよ

月9のドラマにもなったガリレオの原作本を借りて読んでみました。
東野圭吾さんの本を読むのは、前にゲームの名は誘拐という本を読んだ事がある程度です。⇒ゲームの名は誘拐 - 電脳世界のおもちゃ箱

で、感想としては、華やかで軽妙な文章を書く作家さんだなぁと思いました。
構成の上手さ、リズミカルなテンポ、興味深い謎、ひとひねりのきいた展開で楽しめました。

本の中身は2冊とも主人公の帝都大理工学部物理学科の湯川助教授と警視庁捜査一課の草薙刑事が怪奇現象としか言えない殺人事件の捜査を行う短編集です。
テレビドラマでは、湯川准教授は変人ガリレオとか呼ばれてましたけど、福山さん演じるガリレオは、どうみても変人というより超人。大学の準教授で、天才と呼ばれ、イケメンで女子大生にはキャーキャー言われ、スポーツができ、料理もできるって、それってどんな完璧超人?って私は思いましたけど。
原作の方の湯川助教授も、いわゆる奇人変人型の名探偵(シャーロック・ホームズ御手洗潔といったような)という程、奇矯な性格はなく。子供嫌いで、論理を重んじ、草薙刑事をからかうという茶目っ気もあるキャラクターとなっています。この辺りのキャラクターの造形は、必要最低限という感じはしますね、それほど深い魅力を感じないというか。

そして、推理小説の分類においては、いわゆるハウダニットが重視されています。ハウダニット、つまり、どのように犯罪を行ったのかの謎を解明するのに紙面がさかれているという感じです。
そして、おそらく作者は意図的なんでしょうが、ノックスの十戒の一つ、『非常にむつかしい科学的説明を要する毒物を使ってはいけない。』に反しているトリックを使用しています。毒物ではないんですけど、科学的説明はでてくる小説ではありますね。
その、ノックスの十戒に反してるからダメだとか言うつもりは、さらさらなく、そのどうやって犯行を行ったのか、自分で考えながら読みたいという人には、むいてませんよという事です。

総じて、通勤や通学の電車の中で読む本を探している人には、強くお勧めできるかと。
短編小説だし、物語世界にのめり込むという程でもないので、すぐに現実世界に切り替えれるし、それでいてきちんとエンターティメント小説になっていますので、楽しめますし。
ちなみに、私が、短編の中で一番好きな話は予知夢の中の「予知る(しる)」でした。ラストの部分が良かったです。