疑問に思っていた事

逆説の日本史を読んでいて、そうそうオイラも日本史で前から疑問に思っていた事について、答えと思える論理が載っていた。
それは、8世紀の宇佐八幡宮神託事件についてである。日本史で習った方も多いとは思いますが、概略としては宇佐八幡宮から「道鏡皇位につくべし」との託宣を受け、それに乗じて天皇につこうとしたが、神託を受けに使いに出した和気清麻呂が持ち帰った返答は、「皇室の血統でないものを位につけてはならない」というものだった。それから和気清麻呂流罪になったりとか色々あるけど、そこは割愛。

オイラが疑問に思っていたのは、なんで宇佐八幡宮なの?という点である。大分県にある宇佐八幡宮は、全国四万四千社と称する八幡宮の総本社であり、格は確かに高い。高いが、それにしたって伊勢神宮にはかなわないだろう。なぜなら、伊勢神宮が祭っているのは、天照大神であり、最高の神格を持っているからだ。
で、議案は皇室でない道鏡が、皇位天皇位)につけるのかという点である。天皇家にとって重大極まりない内容である。

なのに伊勢神宮は無視され、和気清麻呂宇佐八幡宮に神託を聞きに行き、神託の答えに納得がいかなかったと言われた称徳天皇も、じゃぁ伊勢神宮に聞いてみようと言わなかったのは何故かなぁと、ずっと思っていたのです。

で、逆説の日本史では、この疑問に対する答えは、どう答えているかというと。色々な仮説や推論を抜きにしちゃいますが、天皇家の故郷は宇佐もしくは北九州の地であり、そこから畿内を征服して、大和朝廷を打ち立てたのだろうと。その過程で畿内にすむ大和の先住民の聖地である伊勢を、タタリを畏れて最高の聖地にしたのではないか。だから、天皇家のルールを変更するには、先祖の霊に聞く必要があり、先祖が眠っている墓所は宇佐の地であり、伊勢ではなかったからだという論です。
これを読んで、おぉそうか、そういう考え方があるかと長年の疑問がちょっと溶けた瞬間でありました。ちゃんちゃん。