臆病者のための株入門

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)

投資の事をよく書いてるくせに、投資本を紹介してこなかったのですが、初心者の方にお薦めの本を読んだので、御紹介。

よくネットとかでも言われる言葉に、まずは、自分のスタイルを確立してくださいとか、書いてありますよね。でもさ、初心者の時に、こんな事いわれてもじゃぁ、こうしようと決めれないじゃないですか。そもそも、株式投資本やネットも色々なスタイルを前提で語られているから、そのスタイルを比較するという事が無いと思うんですよね。この本だと作者は、ディトレで一億儲けたから、ディトレがいいの?それとも、バフェットのように長期投資がいいの?って、初心者は右往左往する事になりがちかと。(というかオイラがそうでした。)

で、この本に書いてある事は、基本的事項ばかりです。とはいえ、PERやPBR、移動平均線出来高、歩み値といった個別のテクニックが書かれている訳ではありません。だから、読んでスグに実践に役立つという事はないでしょう。
ただし、この株式投資という世界に関する、資本主義は自己増殖する仕組みである事、トレーディングは誰かが儲ければ、誰かが損するゼロサムゲーム、株式投資はギャンブル(偶然性にかけるゲーム)である、効率的市場仮説とはという事が説明されます。これらの事柄をB・N・F氏やホリエモン、バフェット氏や竹田和平氏といった挿話で、すらすらと読めるように工夫されてます。(一部、難しい部分はありますが、はぁ、そんなもんですかと読み進めて、構わないと思います。)

このような説明の後、代表的な手法として、以下の3つが説明されます。

1.トレーディング(ディトレード含む)
2.個別株長期投資(バフェット流投資法)
3.インデックス投資(経済学的にもっとも正しい投資法)(P.211)

そして、それぞれの特徴として、トレーディングはゲームとしては面白いし、すごく高いパフォーマンスを狙えるが、負ける確立は高い。個別長期投資は、大きな利益を狙いやすいが、財務分析から勉強しなくてはいけないし、主戦場が日本株に限定されるので(外国株は現地の投資家の方が有利のため)、日本が長期的に成長していかなくては、ダメ。インデックス投資は平均的にしか儲からないが、考える必要は、ほとんどない。このような投資法の特徴や、株式市場の特性(レバレッジ複利など)を踏まえて、自分なりにスタイルを組み立てていく事を推奨されており、分かりやすい結論だと思います。

最後にお断りしておくと、私自身はここで述べたような「合理的な投資法」を実践しているわけではない。
ひとには、正しくないことをする自由もあるからだ。(P.229)

もちろん、著者も述べているように、合理的な投資法をする必要はないと思いますが、経済学的に合理的な投資法とは、どういうものかを知っておいて損はないかと。だから、PERやPBR、チャートの勉強をする前に、一読をお薦めします。新書だから、ページ数も多くないし、800円以下で買えますので、手頃じゃないかと思います。