古畑任三郎ファイナル 第3夜

さぁ、とうとう最終話です。ゲストは松嶋菜々子さんで、双子の脚本家役を1人2役で演じておられます。今回の劇中劇において、鬼警部ブルガリ三四郎というテレビ番組の脚本を書いた事になっているのですが、そこには色々な遊びがありました。例えば、脚本家に「記者の皆さんにおいては、視聴率が悪いというだけで叩かないでください」とか言わせたり。また、今泉(西村雅彦)が「犯人があんな簡単に自白する訳ないよ」というセリフは、古畑のドラマにたいしてよくある批判ですね。

松嶋菜々子が演じた加賀美京子は「古畑―」とよく似たドラマ「鬼警部ブルガリ三四郎」を執筆する脚本家の役。その最終回終了後に殺人事件が起こるというストーリー。脚本の三谷幸喜氏が自身のパロディーと田村正和(62)演じる古畑を“究極の最終対決”させたというわけだ。
 同シリーズを企画した石原隆プロデューサーは「三谷幸喜さんの天才ぶりに改めて舌を巻いた。12年支えてくれたファンのみなさんに感謝したい」とコメント。健在の人気ぶりを示した「古畑―」だが「現在のところ復活の予定はない」(フジテレビ)という。

そして、この記事にあるように、今回の加賀美京子というキャラクターは、三谷幸喜さん自身のパロディーだったのでしょうね。そのような視点で眺めると、人に会うのが好きで社交的な妹と不器用で内気な姉という二面性も、三谷さん自身の事ではないかという深読みもできます。三谷さんは、テレビ番組の宣伝なんかで、バラエティ番組によく出演されたり、また自身でも俳優もこなすという、出たがりな性格とも言えますが、同時に気まずい二人という三谷さんが書かれたエッセイがあるのですが、そこでは初対面の女性と上手く会話のできない不器用な性格が読み取れます。この出たがりな性格と不器用な性格はまんま今回の双子のキャラクターだなと。

気まずい二人 (角川文庫)

気まずい二人 (角川文庫)

さて、古畑においてトリックはそんなに重要ではないのですが、今回のトリックは極めてオーソドックスなものでした。肝心なトリック部分も、コップについた口紅や黄色いコートを着た古畑に何も言わないという所で、オイラは大体真相が読めました。推理においても、西園寺君(石井)も鋭い所までは、読めてましたしこの部分は単純化しようとしたのだと思います。最終回の今回はトリックを楽しむというよりも、犯人に対する優しさ、古畑のプライベート部分といった刑事としてというより、人間としての古畑を演出したのだと思います。

今回で最後ですが、このシリーズが始まって12年だったのですね。そして最後に人生はやり直せると諭す時の話が、第一回目の少女漫画家の小石川ちなみ(中森明菜)だぁ〜というのが、上手くまとまっていてファンとしては嬉しかったし、またこれで最後なんだなという寂しさも感じました。